バイクの電気のお話

<序文>
バイクのエンジンや、テクニックについて書かれている本やサイトは多いですが、
電気について詳しく書いてあるものとなると、あまり無いですよね。
ショップもメカについては詳しいですが、電気関係になると案外詳しくない事が多いです。

「そんなもん、適当なアクセサリー電源の電線剥いて絡めて、ビニテで巻いときゃOKよ!」
的なノリ(?)で取り付けてる人も多いですよね。

私も電気関係はまったくの素人です。
ですから、最初の12V・シガー電源ソケットの取りつけ方は上記の様に、
アクセサリ(Acc)の配線にソケットの+を絡めて、外観にビニールテープを巻いて、
マイナスはボディの適当なネジに取り付けて、通電だけ確認してハイ完成!
でした。

でも、これだとダメだったんです。
このソケットにスマホをつないで充電してると、スマホが暴走して使い物になりませんでした。
具体的には
・勝手に電源が落ちて再起動がかかる→再起動の途中で電源が落ちる
  →再起動がかかるが途中で電源が落ちる→再起動が~を電池が無くなるまでループ。

という現象が毎回、充電後早ければ5分後くらいで発症して、まるでダメでした。
また、モバイルバッテリーを充電してたら、モバイルバッテリーが壊れた事もありました。

前述の通り、私は電気の素人ですが、それでもなんとかスマホが使いたい一心
色々調べて、また人に教えてもらって電気という物を学びました。
その結果を私同様、バイクの電気に詳しくない方への手助けになれば、と思ってここに書きます。

正直、電気を知る人にとっては「こんなん当たり前だよ」的な内容だと思います。
また、多少細かい間違いはあるかもしれませんが、大筋は間違っていないと思います。
なにか間違いがあれば、コメントでご指摘して頂けると助かります。

※ 初心者向け、またバイクからアクセサリ電源を取ることに関係する所のみに特化して書きました。
   例えばオルタネーター等、個人では普通いじれない所には触れておりません。
   また、表現もイメージしやすいよう、特化した表現の箇所もあります。



1・交流と直流
電気には”直流電気”と”交流電気”があります。
バイクのエンジンから発電される電気は”交流”。
スマホやナビに必要な電気は”直流”。
作るのは交流、使うのは直流。
ここがバイクの電気の難しいところです。

<直流電気> 使い勝手は良い電気

直流電気
・メリット    使いやすい。
・デメリット  発電しづらい。

スマホ、ナビ、ドラレコ等、おそらくアナタがバイクに付けたい電気機器の全てや、
バイク本体に付いている各ライト、メーターなどは、この直流電気で動いています。
乾電池もこの直流電気です。

余談:バイク用品の耐電圧
バイク用電気機器の対応電圧は通常12Vですが、実はもうちょっと幅があり、
最大で16Vまでならなんとか大丈夫です。
これは、ほとんどの機器の回路の中に入っているコンデンサという、(聞いたことあるでしょ?)
電気の流れを補助する部品の規格が”~16V”であるためです。
ただ、コンデンサにあまり負荷がかかるとパンクして回路の寿命になるので注意。



<交流電気> 発電はしやすい電気
         エンジンで発電するのは交流電気
正弦波
・メリット   発電しやすい。
・デメリット 使いづらい。

普通の電気機器は動きません、だから使いづらい。
電極が+と-とを行ったり来たりするため、例えばモーターを繋げると、
回転しないで、一定間隔で右(+)・左(-)と首を振るだけの動きとなります。
このように、このままで使うには難しい電気です。
しかし、発電しやすい事と、電圧を変えやすいので電気を送るのに適している為、
発電所から家のコンセントまではこの交流電気です。
そして、バイクのエンジンに組み込まれた発電機から発電される電気も、この交流電気です。

ここまで読んで、アナタはきっとこう思ったでしょう。
「最初から直流電気を発電させれば、万事解決じゃないの?」と。
しかし・・・・
エンジンで最初から直流電気を発電すれば、面倒な事はないのですが、
直流の発電機は色々と大変で、バイクに積むのはちょっと現実的ではないのです。
そこで、直流を発電する事は諦めて、とりあえず交流電気を発電してから、
[交流電気を直流電気に変換する装置]を別に組込むという方法が採られているのです。
バイクの電気はこのしくみで、最終的に直流電気を作り出しています。



電気のスタート地点となる、エンジン内の発電機で発電される
交流電気をもう少し説明しましょう。
電圧図
このように交流電気というのは、極短時間ではありますが
「電圧がゼロ」というポイントが確実に一定間隔で発生します。
これは「交流電気は電気が流れない瞬間が一定の間隔である」という事です。
ここが電圧が常に一定である直流電気と、大きく違う点です。

バイクの発電機で生み出す交流電気の最大電圧は±30V程度だそうです。
また、交流電気の+⇔-の極の入れ替わりが1秒間に何回行われるか、
というのをhz(ヘルツ)で表します。
家庭用100V電気が東日本では50hzで、西日本は60hzと言うのは有名ですね。
50hzならは1秒間に50回+と-が入れ替わっており、
それは同時に100個の電圧0ポイントがあるということになります。


余談:なぜ直流の発電機は難しいの?
バイクのエンジンの発電器(オルタネーター)は電磁誘導の理屈で電気を発生させてます。
エンジンの内部に巻かれた銅線(コイル)が固定(静)されており、ドライブシャフトに取り付けた磁石が回転(動)することで
電磁誘導が起きてコイルに電気が発生、そしてその電気は交流になります。
この装置で直流を発生させるのには、実は難しくなく、理論上は静と動を逆にするだけで出来ます。
しかしそれは磁石を固定して、コイルを一方向へ回転させるということ。
発電した電気の出力の為に、外部と必ず繋ぐ必要のあるコイルを回転させ続けることは出来ないので、(断線しちゃうでしょ)
それらを改善する為には・・・と考えると、複雑化し発電装置の定期的なメンテも必要になったりする、など
バイクに搭載するのには現実的ではなくなってしまうのです


バイクのエンジンに積まれいている交流電気発電機を
一般にはオルタネーターと呼びます。



2・交流→直流にしよう!
バイクのエンジンで発電される交流電気。
これを直流にする事から始めます。
では、どのように直流にするのでしょうか?



ここで、ダイオードという電子パーツを使います。
名前くらいは聞いた事がある人が多いのではないでしょうか。
3350712_th
<ダイオード>
ざっくり言うと、ダイオードはプラス電極の電気しか通しません。
ですので、発電した交流電気をこのダイオードに通す事で、
プラス極の電気だけが取りだせるのです。

もう少し正確に書くと、ダイオードと言う部品は一方向の電流しか通しません。
写真のダイオードの場合、下→上方向の電流は通しますが、
その逆方向上→下方向の電流は通しません。
33507121_th
この性質を利用して、交流電気がプラス極の時には通電方向に(写真だと青方向)、
マイナス極の時には不通方向(赤方向)に電気が流れるように回路を組むことで、
その回路の先にはプラス極の電気しか行かない、という訳です。
整流作用
これをダイオードの整流作用と言います。
擬似直流
ここで、ちょっと腑に落ちない方もいるでしょう。
1で書いたとおり、直流電気というのは電圧が一定で変化しない電気のことです。
ここで取り出した電気はプラス極ではあるものの、電圧は変化します。
もともと交流電気の上半分ですので、当たり前なのですけど。。。。
ただ、この山ですがhzの説明でも書いたように、1秒の間に50個~60個あるわけで、
そうなると、ほぼ直流として扱えるじゃん?、としているのです。

直流は擬音で例えると、「ダーーーーーー」と繋がった音なのに対し、
疑似直流はダダダダダダダダダと細切れですが、それを早く言う事で、
人の耳にはまるでダーーーーと同じに聞こえる、みたいな感じでしょうか。

ですので、ここではこの取り出した電気を「疑似直流電気」と呼称します。
私が勝手に命名しただけで、決して正式名称じゃないですからね!

この交流→(疑似)直流の整流を行っている部分が
レクチファイアと呼ばれている部品です。




3・12Vに電圧を抑制する。
直流電気はできました!(疑似直流だけど・・・)
ただし、その最大電圧は12V以上ありますので、これを12Vに抑制しないと
過大電圧の電気が回路に流れ、最悪の場合回路を壊してしまいます。

ちなみに、回路が過大電流で焼けた場合には、特有の臭いがしますので解ります。
(最悪回路ごと燃える事も考えられますが・・・)

バイクの電気回路で、この電圧抑制をしている部分をレギュレーターといいます。
レギュレーター
こんな感じで電圧抑制を行っております。
12V(※)以上の電圧がかかると、発電機へ戻る道筋が開く様になっています。
回路の本道には12Vまでが流れ、それ以上の電圧を持った電流はバイパスで
発電機へ戻される、というイメージです。

※ 12Vだと、その後の回路内の諸々のロスによって、バッテリーに12Vで充電されません。
   ですので、それらのロスがあってもバッテリーには12Vの電気が入るよう(届くよう)に、
   実際にはそれより高い電圧(14V位かな?)で抑制してます。
   エンジンを始動した時にシガーソケット電圧が13V位あるのは、このためです。

レギュレーターは余った電機を熱に変えて放出する。20160421Light_Label_Electric_tabletop_burner_KCK-L103
と、良く書いてありますが、余った電気をそのまま熱に変えたら
とんでもない熱量になって、カウル等が溶けてしまいます。
電気ストーブや、昔の人ならニクロム線のコンロ(→)を思い出してください。
電気を熱に変えると、かなりの熱量になりますよね。
ですから、熱に変えて放出なんて危なくてできません。
そもそも、そんな構造だったら国から許可おりないでしょう。
回路の全てに言えますが、電線も含むどの部品も大なり小なり電気抵抗になります。
レギュレーターもそうです、多少なりとも電気抵抗になります。
抵抗=電気が熱に変わってしまう、その為、レギュレーターも多少の発熱をします。
ただ、それだけの話です。
すなわち、レギュレーター以外の装置でも発熱してますが
レギュ~って裸で設置されていて発熱具合が解るので、誤解されたんでしょうね。
なお、レギュ~がエンジンに戻す際には逆相で戻し、ショートさせて打ち消しています。

レクチファイアとレギュレーターはバイクの場合一体化している事が多いので
「レギュレートレクチファイア」などと、一言で言われる事が多いです。


4・バッテリーのもうヒトツの顔
バイクにバッテリーって積んでありますが、何の為でしょうか?
と質問したら、ほとんどの人は、「セルを廻す為」と答えるでしょう。
もちろん、それは間違いではありませんが
バッテリーにはもうヒトツの大事な役割があります。

それは、整流作用
バッテリー


今まで、うるさいほど「交流の電圧ゼロ」や「疑似直流」にこだわって書いてたのは
この説明がしたかったからなのです。

結論から書くと、
私のスマホの不調の原因は、おそらくこの疑似電圧のせいだったと思われるのです。
疑似直流が流れる回路からシガソケの電源を引いた為、スマホには本物の直流ではなく
疑似直流=細切れの交流電気が流れることになり、超細かい間隔で電圧が0になる、
すなわち強制的なオン・オフを繰り返す状態を繰り返すこととなり、不調になった。
と推測されるのです。


バッテリーには電気を貯める=「蓄電」する能力があります。
この蓄電により、乱れていた電流が綺麗な直流電気になる整流作用があります。
バイクの電気回路設計においてバッテリーは、実は整流装置として考えられています。

従って、精密な弱電装置と言われる精密電子機器は、バッテリーから綺麗な直流電気を電源として
引っぱってこないと、トラブルの基になるのです。
ですので、電源はバッ直こと、バッテリーから直に採るのが良いのです。


素人説明をながながと書きましたが、以上です。
最初に書きましたが、表現を丸めてあるところもあったりするので
細かい点では違うところもあるかもしれません。
あくまでも、概略として捕らえてくださいね。